理想のサッカーを追求して現在14位。
ベガルタはどこまで我慢できるか (4ページ目)
富田は自滅に近い形で敗れたことを認めている。そして、こうも付け加えた。
「前半は相手がブロックを作って前に来なかったのである程度やれましたが、後半は前に出てきたなかで自分たちがチャレンジできない部分もあったし、簡単なミスを繰り返してしまうところもあった。そういうところから、ゲームの流れは変わってしまった」
つまり、引いた相手には回すことができるが、相手の出方が変わると、それに対応できなかった。そこには精度の問題もあるだろうが、スタイルの柔軟性の欠如も浮かび上がる。相手が前に出てきたのなら、シンプルに裏を突く選択肢があってもよかったが、仙台がカウンターを仕掛ける場面は少なく、ビルドアップからのサイド攻撃に固執するきらいがあった。
もちろん、理想を求めることはクラブのアイデンティティを築くうえでも重要だ。しかし、結果は理想だけでは得られないのもまた事実である。
注目したいのは仙台の今後だ。「やり続けることが重要」と富田は言うが、このまま下降線をたどるのであれば、方向転換を強いられるときが来るかもしれない。
チャレンジなくして、進化は生まれない。しかし、降格のあるサッカーというスポーツでは、時に現実を見る必要性が出てくる。やり続けるのか、あるいは苦渋の決断を下すのか――。果たして仙台は、どこまで我慢できるだろうか。
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