サンフレッチェの優勝を予想した記者が感じた、今季の違和感の正体 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ちょっと前の強かったころの広島の戦いは、最終ラインからしっかりとつなぎ、相手に揺さぶりをかけながらバイタルエリアでの連動やサイドを巧みに突いて、面白いようにゴールを量産してきた。

 勝ちパターンは「先行逃げ切り」。前半は0−0で進め、後半にギアを上げて先制点を奪い取り、追いつこうと前がかりとなった相手の裏を鋭く突いて、カウンターから2点、3点を上乗せし、勝利を積み重ねていったのだ。

 その先行逃げ切りの戦いのベースにあるのは、有機的なパス回しと、崩れることのない堅守だった。しかし「点が獲れない、守り切れない」今季の戦いでは、それを実現するのは不可能だ。

 守り切れない守備に関しては、改善の余地はある。今季の広島は9試合で12失点を喫しているが、そのうち8失点がPKを含むセットプレーによるもの。FC東京戦でも、粘り強く守りながらもコーナーキックからの一撃に泣いた。もちろん、セットプレーの対応の甘さを指摘せざるを得ないが、決して崩されているわけではなく、守備の安定性はまだ保たれている。

 課題はやはり、点が獲れないことに尽きる。9試合で6得点。5度の完封負けという貧打では、勝てないのも当然だ。

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