福田正博が「久保裕也の台頭と日本代表の年齢バランス」について考える (4ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 代表歴の浅い選手は、シンプルに自分の持ち味を出すことが大切だ。日本の若い選手は、ソツなくこなそうとする傾向が強く、あれもこれもやろうとする。その結果、一番の持ち味を発揮できずに代表を去るケースが多い。

 だが、ソツなくこなすのはベテランや豊富な経験を持つ選手の役割であって、若い選手の最大の強みは、思いきりのよさや、「代表で成功したい」という野心がもたらす怖いもの知らずなプレーにある。久保のプレーはまさにそれだった。

 また、久保が代表でのチャンスをモノにしたことは、チームの年齢構成を考えても大きな意義がある。代表チームの主力となるべきなのは、26歳から28歳の選手。フィジカル、技術、経験が揃い、脂が乗っているこの年齢層の選手が6人前後を占め、ここにベテランと若手が2~3人ずつが加わるのが理想的だ。ブラジルW杯優勝のドイツ代表などは、ある程度意図的にこの年齢構成にしている。実際、シュバインシュタイガーや神戸に移籍するポドルスキが31歳でドイツ代表を引退することで、次のW杯で主力となるべき若い選手たちが国際大会での過酷な戦いを経験できている。

 日本代表の場合、世代交代の遅れは長らく指摘されてきたことだが、代表のスタメンの座は実力で勝ち取るものであって、ただ若い選手を登用すればいいわけではない。先輩たちを上回る若手がなかなか出てこなかったが、昨年、W杯アジア最終予選を戦う中で「ロンドン世代」の原口元気や清武らが頭角を現し、ここにきてさらに下の「リオ世代」の久保が活躍したことで、ようやく日本代表の新陳代謝が活性化してきた。

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