鹿島・石井正忠監督が明かす、クラブW杯「準優勝」の舞台裏 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

――昔の鹿島とはちょっと違いますね。堅守と言われますが、後ろでじっと守るイメージは薄い。鹿島のルーツはブラジルにあると思いますが、プレッシングという意味でヨーロッパ的。他のJリーグのクラブに比べると、それはより鮮明になります。

「そこを見てもらえているというのは僕は嬉しいです。クラブW杯でも、強い相手にただ引くのではなくて、自分の方からも奪いにいくという姿が大勢の人に伝わったから、喜んでいただけたのかな、と」

――レアル・マドリード戦のボール支配率は61対39。かつてサントスがバルセロナと戦った時が71対29(2011年、結果は4-0でバルサ)で、そうなったら絶対に勝てない。見てる人もつまらないだろうなと思います。ですが、最初の何分かを見て、これは期待できる、いけるかもしれないと閃(ひらめ)きました。よく引きませんでしたね。一歩間違えば、大敗もあり得るというのに。

「それでも打ちに出ていった。そこが嬉しかったです。決勝だから強気にいけたこともあります。ミーティングでも『相手を引き込むんじゃなくて、自分たちのスタイルを最後まで貫こうよ』って話しました。

 まず、クラブW杯に臨むにあたり最初に話したのは、『4試合戦おう』ということでした。で、さらに『4試合勝つ』。ミーティングの最後に、クラブW杯のトロフィーを写真で見せて、『これを獲りにいこうよ』と。それが、試合が進む中で『現実味を帯びてきたね』という話も出てきて、決勝に進む頃には全選手が疑いなくそちらを向いていた。

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