伝説のジュビロN-BOXは、選手たちの
反発と戸惑いからスタートした (5ページ目)
宮崎キャンプでのトライアル&エラー
キャンプが始まった当初、右ボランチを務める福西崇史は、「とにかくしんどい」と感じていた。
新システムでは選手の配置上、必然的に両サイドに大きなスペースが空く。そのスペースを狙われないように、チーム全体で一方のサイドにスライドして相手のボールホルダーをタッチライン際に追い込み、ボールを奪い取る。
新システムに疑問を抱いたままキャンプに臨んだ選手たちphoto by Kyodo news 必然的に逆サイドには大きなスペースが空くから、そこに展開されないように、素早くプレスをかける必要があった。ひとりが少しでもサボるだけで、守備網に穴が空いてしまうため、フィールドプレーヤー全員の息の合った動きが求められた。
「スライドがまだスムーズじゃなかったから、なかなかボールが取れないし、逆サイドに振られでもしたら、キツくて出ていけない。本来なら誰かいるはずのサイドに誰もいないわけだから、ストレスもたまるし......」
システムが機能しない場合に、ダブルボランチにかかる負担は計り知れないものがあった。福西はキャンプ中、パートナーの服部とともに指揮官に困難を訴えた。
「でも、マサくんは『いや、やるぞ』『おまえたちならできる』と頑なだった。マサくんの熱意に負けたというか、じゃあ、とにかくやりながら高めていくしかないなって」
5 / 6