青森山田に悲願の初優勝をもたらした「プレミア6年間」の経験値 (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 強豪がそろうプレミアリーグでも、青森山田は昨年2位、今年は優勝と確実に成果を残してきた。黒田監督が「格上」と表現するJクラブのユースチームを相手にしても、ときには真っ向から押し切り、ときには一瞬のスキを突き、勝利を重ねてきた結果である。

「今日(選手権決勝)はプレミアリーグで1年やってきたことが、いかんなく発揮できた」(廣末)

 好セーブばかりでなく、ゴールに直結する正確なロングキックで優勝に貢献した青森山田の守護神は、堂々とそう言い切る。

 中学時代はFC東京U-15深川に所属していた廣末が、越境してまで青森山田を進学先に選んだ理由のひとつは、「選手権とプレミアリーグに出場できること」だったという。

 選手の目にも、プレミアリーグが自身の成長のために魅力的な環境であると映るならば、自然と好素材も集まるようになる。ともすれば、練習試合の相手探しにすら苦労しそうな本州最北県の青森山田にあって、プレミアリーグがもたらした恩恵は計り知れない。

 もちろん、こうしてどんなに強いチームを作ったとしても、絶対に勝てる保証など、どこにもない。黒田監督の言葉を借りれば、「運、不運もあるし、点が入ったり、入らなかったりする」のがサッカーだ。

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