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脱ポゼッションで初のベスト4。
潔い佐野日大の「守り一辺倒サッカー」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 狙いどおりに前半をゼロで乗り切った佐野日大だったが、守り一辺倒のサッカーでは、いずれは破綻するのではないか......。こちらのそんな予感は62分に的中する。後半に入り、前への圧力を強めてきた駒澤大高の攻撃をしのぎ切れずに失点。攻め手がなかったことを考えれば、これで試合は終わったかと思われた。

 ところが、佐野日大の選手たちは決して慌てていなかった。

「まだ時間が結構あったし、前線の選手は少ない人数でも点を獲れるのをみんなわかっています。追加点を与えなければ、決めてくれるという信頼があるので、焦りはなかったです」

 そう振り返ったのは、センターバックを務めるキャプテンの福田一成(3年)だ。その言葉どおりに、先制されても守備重視の姿勢は変えず失点しないことを徹底すると、66分にセットプレーから同点に。さらにPK戦に突入するかと思われたアディショナルタイムの82分、少ない人数で相手守備陣を崩し、最後は長崎が値千金の決勝ゴールを奪取。神がかり的な展開で、佐野日大が歓喜を手にした。

 彼らにあるのは、自分たちのサッカーに対する揺るぎない自信だろう。そもそも佐野日大は、ポゼッションサッカーを標榜するチームだった。しかし、夏のインターハイ予選で敗れると、海老沼監督が方向転換を決断。当初は反発する選手もいたが、守備的スタイルで結果を出すなかで、選手たちはこのサッカーに対する自信を深めていったという。

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