「ハイレベル」な残留争い。J2最下位のギラヴァンツは生き残れるか (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Tamura Sho/AFLO SPORT

 8月以降の最近9試合で言えば、1勝3敗5分け。37歳のベテラン、MF本山雅志が「ディフェンスがやられなくなり、負けなくなってきた」と語るように、この間の総失点は8と、1試合平均で1失点以下に抑えている。

 シーズン前半こそ、11試合連続勝利なし(第2~12節)や4連敗(第14~17節)といった時期もあったが、ここにきてチームが変わってきたのは確かだ。

ギラヴァンツ北九州の逆襲の中心選手として期待される本山雅志ギラヴァンツ北九州の逆襲の中心選手として期待される本山雅志 ただ、それだけに怖いのは、必要以上に最下位という順位を意識してしまい、焦りが生じてしまうことだ。

 例えば、直近の第35節、東京ヴェルディ戦。キャプテンマークを巻くMF風間宏希が、試合を振り返って語る。

「(試合開始後)すぐに点を取ったのはいいが、その後の戦い方で守備の意識が強くなってしまい、攻撃に出てもボールを簡単に失ってしまった。攻撃の意識をもう少し持たないといけない。勝たなきゃいけない試合だったし、勝ち点1でよしではない」

 風間が言うように、北九州は試合開始わずか1分で先制点を奪いながら、虎の子の1点を守ろうという意識が強すぎたのか、その後は完全に受け身に回った。その結果、ヴェルディにゲームを支配され、同点ゴールを許してしまったのである。

 もしも「勝ち点3がほしい」「早く最下位を抜け出したい」という焦りによって生まれた結果だとしたら危ない。せっかくチーム状態が上向いているにもかかわらず、自滅することにもなりかねない。本山は自らに言い聞かせるように語る。

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