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サンフレッチェとレッズの「質」が逆転。
今の浦和は王者の資格あり (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 内容的には決して劣っていなかったし、むしろチャンスの数自体は広島のほうが多かっただろう。しかし、スコアは3−0の完敗。それゆえに、浦和の試合巧者ぶりが際立つ試合でもあった。

 ひと言でいえば、「決めきれるか、決めきれないか」の戦いだった。結局、サッカーの本質とはそこに尽きるのだろうとも思う。ただし、これは運、不運の話ではなく、プレーのクオリティに起因する。ビッグセーブを連発したGK西川周作をはじめ、最後の場面で身体を張り続けた浦和守備陣のプレーの質はやはり高かったし、少ないチャンスで完璧なトラップからゴールを叩き込んだ高木のプレーもたしかなクオリティを備えていた。

 ここで言う「質」とは、単純に技術だけを指すのではなく、絶対にゴールを割らせないという気迫だったり、勝負どころを見極めたパワーの割き方だったり、あるいは状況を踏まえたうえでの判断の選択だったり、つまり、勝利のために何をすべきかを理解したうえでのプレーを指す。

 チャンスの後にあっさり失点した広島は、クオリティが足りなかったと指摘せざるを得ないし、「ピンチの後にチャンスあり」を体現した浦和のプレーの質が上回っていたことは間違いない。むしろこうした戦いは、ここ4年で3度の優勝を成し遂げた広島が備えていたもので、逆にそれが足りなかった浦和には、大事なところで勝ち切れずタイトルを逃してきた歴史がある。しかしその立場が、この試合では完全に逆転したのだ。

 勝つためのクオリティを備えた今の浦和は、間違いなく王者になるだけの資格を有している。埼玉スタジアム2002での決戦は、タイトルに飢えた浦和にとってのターニングマッチとなるはずだ。

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