遠藤保仁が語るガンバ低迷の理由「選手の考え方にギャップがある」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

 三冠を達成した一昨年は、パトリックと宇佐美が攻撃をけん引した。彼らが前でボールをキープできる、もしくは前にボールを運べるので、しっかり守りつつ前へ速く、という攻撃がはまった。

 しかし、その2014年シーズン、続く2015年シーズンと、2年間も同じメンバーで、同じ攻撃スタイルを続けていれば、相手も分析し、前線のふたりを抑えにかかってくる。それを打開するための補強だったが、うまく機能せず、しかも攻撃を前に急ぐあまり、後方選手のサポートが間に合わず、単発な攻撃に終わって、2次、3次攻撃につながらなかった。

 第11節の新潟戦がスコアレスドローに終わったあと、長谷川健太監督は次節のジュビロ磐田戦で、ひとつ手を打った。ボランチの遠藤を2列目に上げて、宇佐美とアデミウソンの“リンク役”にした。同時に、ボランチには守備力のある井手口陽介と今野泰幸を置いてバランスをとった。

 すると、磐田戦では2-1で勝利し、続くサンフレッチェ広島戦も3-1と快勝して上昇気流に乗りかけた。しかし、直後のFC東京戦は完封負け(0-1)。以降、湘南ベルマーレには3-3と勝ち切れず、浦和レッズには1-0で勝ったものの、サガン鳥栖には1-2と逆転負けを喫した。

 攻撃がよくなる(宇佐美の調子が上がる)と、そっちにばかり意識が及んで守備がおろそかになる。逆に失点が重なると、今度はポジショニングを修正することにだけとらわれて攻撃がうまくいかなくなる。ガンバはずっと、攻守のバランスを欠いていたのだ。

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