川崎、鹿島、浦和、広島ほか、J1クラブの好不調を福田正博が分析 (4ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 開幕前、優勝候補の一角に予想したG大阪や広島が苦戦する一方で、大宮アルディージャと柏レイソルは、おおいにリーグを盛り上げてくれている。

 大宮は開幕前からある程度の成績を残すだろうと予想はしていた。それはJ1とJ2の実力差が大きくないこともあり、過去にJ2からトップで昇格し、翌年も同じスタイルで戦ったチームは、昇格後のJ1で好成績を残してきたからだ。2011年の柏(J1優勝)や2014年のG大阪(3冠獲得)が代表的な例だろう。

 大宮の戦い方はシンプルだ。粘り強く全員で守備をし、攻撃の中心として君臨する家長昭博にボールを預けて後方から押し上げて、家長やドラガン・ムルジャが決定力を発揮する。13節までのチーム総得点は14、総失点は12ながら、上位争いに加われているのは、勝ち点3を奪い切る集中力をチーム全員が見せているからだ。これから体力的に厳しい季節になるが、最後まで好調を維持して旋風を起こしてもらいたい。

 現在5位の柏は開幕直後の監督交代によってチーム崩壊を招きかねない状況だったが、下平隆弘監督が長くユース世代の育成に携わってきた強みを生かしてチーム状態を好転させた。

 下平監督は柏ユース出身の若手を大胆に起用しているが、なかでもCBでの選手起用に特徴がある。20歳の中谷進之介、19歳の中山雄太といった選手を、31歳の増島竜也や30歳の鎌田次郎とCBでコンビを組ませて使いながら育てている。

 こうした起用ができるのも、大谷秀和や茨田陽生など主力の多くが柏ユースで育ってきたことが大きい。下平監督やチームメートと育成年代から相互理解ができているため、適応がスムーズなのだ。

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