【恩田社長の600日】「岐阜」と「ぎふ」。そこにあるクラブ運営の難しさ (3ページ目)

  • 恩田聖敬●文 text by Onda Satoshi

 一方、東濃地域は、岐阜というより名古屋との関係が深く、道路も線路も岐阜市ではなく、名古屋に向かって伸びています。東濃地域を車で走っていると、「名古屋まで○キロ」という標識はあっても、「岐阜まで○キロ」という標識は見当たらないのが、その証拠です。

 そして、お盆の「徹夜踊り」で有名な郡上八幡を含む中濃地域は、各市町村が独自の文化を形成しています。ちなみに、FC岐阜に所属する益山司選手と遠藤純輝選手は、共に中濃地域出身で、出身市町村から観光大使的な役割をいただきました。大変名誉なことですし、『FC岐阜』が担うべき姿です。

 続いて西濃地域です。経済力だけを取れば、岐阜地域よりも西濃地域の方が上であり、西濃運輸を筆頭に、名だたる企業があります。また、西濃地域は強固な仲間意識を持ち、商工会議所を中心に強い結束力を持っています。都市対抗野球の西濃運輸など、スポーツ文化も根付いています。2014年のクラブハウス建設等を求めた署名活動の際には、商工会議所にお願いしたところ、所属企業への署名用紙の配布はもちろんのこと、進捗確認から回収まですべてやっていただきました。

 最後に、岐阜県の県庁所在地である、岐阜市を含む岐阜地域です。私の出身地である山県市も岐阜地域に含まれます。『FC岐阜』のホームスタジアムやメインの練習場、そして今年完成したクラブハウスも全て岐阜地域にあります。まさに『FC岐阜』のお膝下です。他府県に足を運ぶと、県庁と市役所は隣接していることが多い気がしますが、岐阜のそれらは車で20分という微妙な距離に位置しています。さらに、岐阜県と岐阜市は同額の主要株主です。次回詳しく書く予定ですが、FC岐阜は良くも悪くも、この2つの力に大いに影響を受けています。

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