柿谷曜一朗の「代表復帰」を後押しできない、古巣セレッソの迷走 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO SPORT

古巣のセレッソに復帰し、活躍が期待される柿谷曜一朗だが......古巣のセレッソに復帰し、活躍が期待される柿谷曜一朗だが...... 柿谷のパフォーマンスが低調、ということではない。柿谷が今季ここまで(J2第13節終了時)に残した成績は、13試合出場で4ゴール。数字的に見れば、確かに少々物足りないが、それでも2シーズンぶりに帰ってきた背番号8は、随所にキレのいい動きを見せている。

 にもかかわらず、柿谷のプレーが以前ほどには際立って見えないのは、柿谷自身の、というよりも、そもそもセレッソ自体が問題を抱えているからだと言わざるをえない。

 柿谷以外にも、FWの杉本健勇、玉田圭司といった日本代表経験者を数多く抱えるセレッソは、J2では群を抜く充実した戦力を誇る。

 だが、今季新たに加わった外国人選手が3人(FWリカルド・サントス、MFブルーノ・メネゲウ、MFソウザ)もピッチに立つ影響か、チームとして志向するサッカーが定まらず、攻守両面で落ち着かない試合が続いている。

 直近の試合、J2第13節のレノファ山口戦が象徴的だ。相手の山口が味方からのパスを信じて次々に選手が攻め上がる、抜群のコンビネーションを見せるのに対し、セレッソは選手各々が個人能力に頼って単発の攻めを繰り出すばかり。どちらが厚みのある攻撃につなげられたかは言うまでもない。

 トップ下の位置に入った柿谷も、時折彼らしいトリッキーなワンタッチパスで周囲との連携を確立しようとしていたが、あまりにも距離感が悪すぎた。ときに前線の選手と動きが重なり、やたらと密集したかと思えば、ときに距離が遠すぎて、ワンタッチでパスがつなげない。そんなチグハグな状況が繰り返された。

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