就任1年での2トップ。福田正博が見た「ハリルホジッチ監督の変化」 (2ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Nakashima Daisuke

 日本代表のストロングポイントは中盤の選手層の厚さにある。攻撃的ポジションには本田、香川を筆頭に、原口や清武、宇佐美貴史らがいて、今回は代表に呼ばれなかった乾貴士やU-23代表の南野拓実など、特長の異なる豊富なタレントが揃っている。こうした選手たちに相手ゴールに向いた状態でボールを持たせる。これが日本代表の攻撃にとっては最も大切なことだ。

 1トップの場合、4−2−3−1にしろ、4−3−3にしろ、中盤の選手たちを数多くピッチに立たせることができる。そして、試合では1トップにボールを当てて、中盤やサイドの選手たちが1トップの後方から相手ゴールに向かって走りながらボールを受け、素早いパスやドリブルで攻撃を展開していく。こうした日本代表のストロングポイントを生かした攻撃をするために重要になるのが1トップの選手だ。

 1トップは世界最先端ではスタンダードなスタイルであるが、それは1トップを張れる高さや強いフィジカルを備えた選手がいるからこそ可能なことでもある。日本代表の場合、岡崎にしろ、武藤にしろ、決してフィジカルに恵まれているとはいえない。対戦国のレベルが上がれば1トップとしてポストプレーの役割を果たせないケースも想定される。ここが機能しなければ中盤からの押し上げにはつながらず、タレントが豊富な日本代表の中盤は宝の持ち腐れになってしまう。

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