小笠原満男の大志「被災地から多くのJリーガーを生み出したい」 (2ページ目)
市街地に入ると、原発事故による避難区域特有の進入禁止バリケードが、いたるところに張り巡らされていた。東日本大震災から5年経った今も、被害を受けた当時のまま、いまだ手つかずの状態で残っている風景が続く。それを目の当たりにして、胸が苦しくならない人はいないだろう。
そんな景色を通り抜けてしばらくすると、チャリティーイベントの会場となる南相馬市スポーツセンターが見えてきた。玄関前には、元気いっぱいの子どもたちが『東北人魂』の面々を待ち構えていた。子どもたちの笑顔の出迎えを受けて、「心なしか癒され、ホッとした」と、小笠原は言う。
「(子どもたちは)元気は元気なんだけど、基本的には僕らと同じ東北人だから、やっぱり人見知りで、おとなしいんですよね(笑)。でも、『(プロのサッカー選手と)みんなでサッカーができる!』っていう、うれしい気持ちが隠せないのか、興味津々な表情を浮かべていて、それが印象的で、かわいかったですね」
実際、参加した子どもたちの誰もが目を輝かせて、存分にサッカーを楽しんでいた。小学生を対象にしたイベントながら、手伝いで来ていた中・高校生までもが我慢できずに参加。Jリーガーたちとの試合では、ずっと一緒にプレーしたいという思いが膨らんで、なかなか他の選手と交代しようとせず、周囲の大人たちが苦笑する場面も見受けられた。
子どもたちにとって、現役のJリーガーと間近で触れ合えるということは、それほど得がたく、貴重な体験なのだ。きっと今回の経験は、参加した多くの子どもたちにとって、大切な思い出となり、大きな財産となるに違いない。
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