横浜の一等地から河川敷へ。環境激変のF・マリノスがなぜか元気に (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Kyodo News

 2月23日、新横浜公園内にある河川敷のグラウンドでF・マリノスの選手たちは汗を流していた。表情に暗さがない。むしろ不思議なほど活気があった。チーム得点王のアデミウソンが移籍、期待されたFWラフィーニャは右膝靱帯を損傷し、交渉中というブラジル人FWの獲得は決まらない。さらに開幕を間近に控えて、10番を背負う中村俊輔が発熱で練習を休んでいたにもかかわらず、だ。

 選手たちは腹をくくっているようだった。

「現状をネガティブに捉えていません。点を与えない、という手応えはあります。0-0でも"○戦負けなし"というのを続けていたら、自分たちの自信になるはずです」

 不動の右サイドバック、小林祐三はそう言って、白い息を吐き出した。昨季のF・マリノスはリーグ2位の失点の少なさ。立ち戻れる守備の堅さはアドバンテージだろう。なにより、守備の安定の上に自由な攻撃は築かれる。

「(エリク・モンバエルツ)監督は『プレーの連続性を大事に』と言うんですが、攻め続ける、という考え方があるんだと思います。だから攻めているときに『セキュリティー』(守備にもつけるポジション取り)と口酸っぱく言うし、そこで二歩、三歩頑張ればカウンターを封じられるし、セカンドボールでイニシアチブを取って、再度攻められる。相手に攻める機会を与えず、自分たちがボールを握れるのは、とても効率的。奪ってからコンパクトにオープンスペースへ、という形もできつつありますね」

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