本命はどこか。福田正博が分析する今季J1優勝を争う6チーム (5ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 U-23代表GKの櫛引政敏や、攻守で豊富な運動量を誇る永木亮太ら新戦力の存在が、チーム内に競争を生むことになり、結果的に先発メンバーは代わり映えしなくても、チーム力は着実に昨年よりも上がっていく。そうしたマネジメントをできるのが石井監督であり、だからこそ、昨年7月末に監督代行になるとリーグ戦は6連勝を含めて11勝3敗という結果を残せたのだと思う。しかも、ヤマザキナビスコカップではタイトルを獲得した。

 キャンプ地で石井監督と話をした時、彼から「去年はひとつしかタイトルが獲れなかった」という言葉が出てきた。タイトルがひとつ獲れれば御の字というクラブが多いなかで、自然と「ひとつしか」と言えるあたりが、"王者のメンタリティ"を脈々と受け継ぐ鹿島で、選手・コーチとして長くチームに携わってきた石井監督ならではと感じた。

 柴崎岳が虫垂炎の手術の影響で開幕に間に合わないものの、今年の鹿島が石井監督のもとで本来の勝負強さを発揮し、優勝戦線に加わってくる可能性は十分あるだろう。


 上位争いに加わると予想する6チーム目は川崎だ。風間八宏監督が2012年に就任してから、Jリーグ随一の美しいサッカーを展開しているが、格下相手に脆さを見せることがあり、優勝に届かないシーズンが続いた。しかし、今年はキャンプから守備練習に取り組み、J1初制覇を見据えている。

 監督というのは新たにチーム作りを進める際、守備から着手するケースが多い。それは、攻撃を構築するのは時間がかかるのに対して、守備はパターン練習やフォーメーションを選手に徹底して意識させることでスタイルを浸透させやすく、比較的短期間で結果につながるためだ。そして、監督が結果を優先させるのは、Jリーグのクラブの多くが、成績がふるわないとすぐに監督を解任する傾向が強いからといえる。

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