常勝アントラーズの大黒柱。小笠原満男が示す「プロの矜持」 (2ページ目)

  • 佐野美樹●文 text&photo by Sano Miki

 小笠原はこれまでもずっと、プロとして練習に取り組む姿勢や態度、さらに練習ですら負けることをよしとしない勝利への執着心というものを、常に行動で表してチームをけん引してきた。自らも、かつての先輩たちが示してきたそうした姿を見て学び、プロとしてのあり方、鹿島というチームの"伝統"を吸収し、引き継いできたからだ。

 だが、最近の若い選手たちは、小笠原をはじめ、先輩たちのプロとしての強い姿を見ても、それがなかなか行動に表れることがなかった。頭では理解しているようではあるが、積極的な姿勢、強気な態度というものは、一向に表立って見られることはなかった。

 小笠原の目には、そんな彼らが「(誰かから)何かを与えられるのを待っている」ようにしか見えず、歯痒かった。

 自分が若手の頃は、試合に出たい一心で、練習のときから先輩らを削りにいき、自らの存在をアピールしてきた。それだけ必死で貪欲だったからこそ、消極的な若手の姿を見るたびに、物足りなさを感じていた。

 とはいえ、小笠原は口で言うより、行動で示すタイプである。自分から若手に何かアドバイスしたり、喝を入れたりすることはない。現に、その点について小笠原に問うと、「そういうことはあまりしないね......」と言って、口を結んだ。そんな姿は、現状打破へ何かしら解決の糸口を模索しているようにも見えた。

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