サンフレッチェ広島、バルサへの挑戦権かけ因縁の南米王者に挑む (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Masabu

「U-20日本代表時代にアルゼンチンとは試合をしたことがあるが、アルゼンチンの選手は個人能力が高くて、局面局面のプレーがうまいだけでなく、ずる賢さがあって守備力の高い選手が多い。今日(のマゼンベ戦)みたいにパスをつなげるかどうかはわからない」

 そんな森﨑和にとって、アルゼンチンは浅からぬ因縁のある国でもある。

 森﨑和がU-20日本代表として出場した、2001年ワールドユース選手権(現U-20ワールドカップ)が開かれたのが、アルゼンチン。森﨑和は事前のシミュレーション遠征も含め、アルゼンチンサッカーを肌で感じた経験を持つ。

 しかも、そのワールドユースで日本がグループリーグ敗退に終わった一方、地元の大声援を受け、圧倒的な強さで優勝を飾ったのがアルゼンチンだった。森﨑和にとっての彼の国は、世界との差を見せつけられた場所だと言っていい。

 森﨑和だけではない。ともに日の丸を背負い、同大会に出場していたFW佐藤寿人にとっても思いは同じだ。

「アルゼンチンは、自分にとって特別な国。僕らはあそこで負けて“谷間の世代”と呼ばれるようになったんだから」

 そう語り、苦笑いを浮かべる佐藤。その大会での惨敗をきっかけに日蔭に追いやられた彼らとは対照的に、当時まばゆいばかりのスポットライトを浴びていたのが、U-20アルゼンチン代表のエースストライカーだったFWハビエル・サビオラ。チームの優勝とともに、自身も大会MVPと得点王の“二冠”を獲得したそのサビオラが、今回リバープレートの一員として来日しているのだから、縁とは不思議なものだ。森﨑和は表情をほころばせて口を開く。

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