満身創痍のガンバ。逆転「J王者」へのカギは、遠藤保仁にあり (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ただでさえシーズン最終盤とあって、浦和とガンバの試合ではどちらの選手も動きにキレを欠いていた。しかも、ガンバはナビスコカップで決勝進出、AFCチャンピオンズリーグでも準決勝まで勝ち上がっており、おそらく疲労の蓄積はJリーグで屈指だろう。

 長谷川健太監督も、「ACLもあったので、連戦は慣れている。3連戦くらいなら問題ない」と言いつつも、「(準決勝は)90分ではなかったので......」と勝負が延長までもつれたことには少なからず不安をうかがわせている。

CS準決勝でも、老獪なプレーでチームを勝利に導いた遠藤保仁。CS準決勝でも、老獪なプレーでチームを勝利に導いた遠藤保仁。 そうなると、ガンバとしてはゲーム運びや、頭脳戦といった部分で優位に立ちたいところ。そこでカギを握るのは、やはりMF遠藤保仁の存在だ。浦和との準決勝でも、彼の落ち着いたプレーはどちらに転ぶかわからない試合展開の中で、随所に目立っていた。

 それを心得ていた長谷川監督は、試合が1-1のまま延長に入ると、「遠藤のところで起点を作って、(交代出場で入った)フレッシュな倉田(秋)と米倉(恒貴)を生かせればと思った」と、ボランチの遠藤を前線に上げ、1.5列目で起用。実際、指揮官のもくろみ通り、延長後半の115分には遠藤から米倉へのパスで決定的なチャンスが生まれている。

 結局、この絶好機は米倉の判断ミスで逸したものの、試合がこう着状態にある中、遠藤は"違い"を生み出すことができていた。

 2-1とリードした試合終了間際には、遠藤が直接FKから鮮やかな浮き球パスをFWパトリックへ送り、ダメ押しの3点目をお膳立て。1点差ならラストワンプレーまで勝負の行方はわからなかったが、これで浦和の息の根を止めた。

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