播戸竜二が激白。劇的な昇格を決めた大宮アルディージャの舞台裏 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun

 ところが、ひとりの男が流れを変えた。後半24分、ムルジャが反撃の咆哮(ほうこう)となる強烈な一発を決めたのだ。

 この1点で、スタジアムの沈滞ムードは一掃され、言いようのない高揚感に包まれた。さらに選手たちの動きが活性化し、同点、逆転への気運が一気に高まった。播戸が語る。

「0-2になったときは、さすがに『マジかよ』「ヤバイな』って思った。優勝がかかっている試合なんで、緊張感とかプレッシャーとか相当あったと思うけど、まずは1点、とにかく取り返してくれ、と思っていた。そうすれば、相手もバタバタするだろうし、こっちの勢いはつく。サポーターも、1点返したら『何か起きるんちゃうかな』って感じで盛り上がるからね。

 そうしたら、実際に1点返して、ムードが変わった。さらに(後半36分に)ムルジャが2点目を決めてくれた。あれが、ホンマに大きかった。逆転というムードがスタジアム全体に広がったし、そういう雰囲気をチーム全員で作ることができた。それがあったんで、終了間際にPKを取って逆転できたと思う」

 優勝のかかった試合で、2点差をひっくり返した。まさに『大宮劇場』とも言うべき派手な逆転勝利だった。この勝ち方に、播戸は「チームの成長を感じた」という。

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