播戸竜二が激白。劇的な昇格を決めた大宮アルディージャの舞台裏 (4ページ目)
でも、俺はこれまでにいろいろなチームに所属して、さまざまな経験をしてきたけど、チームの状態が悪くなったときに“これをしたら乗り越えられる”といった特効薬はないんですよ。プレッシャーというか、目に見えない大きなモノをみんなが背負うことになるんだけど、それは選手個々が跳ね除けていかないといけない。だから最後は、『それができんのなら、それまでのチームということや』と思っていた」
播戸の思いはチームに浸透していたのだろう。大宮というチームはふらつきながらも、苦境を乗り越えて、最後は鮮やかな勝利を飾って栄冠を手にしたのだ。
「これは、自分の考えやけど、独走して何のプレッシャーもないまま、下のチームが負けてJ1に昇格するよりも、苦しい思いをして、全員が一致団結してそれに打ち勝って目標を達成するほうが、ずっと価値がある。キツかったけど、最後に勝って優勝できたことこそ、チームも、選手個々も、成長した証やと思います」
優勝後、渋谷洋樹監督を「胴上げしよう!」と提案したのは播戸だった。また、シャーレを全員が掲げるように言ったのも播戸だ。
「キャプテンしかできない経験を全員が共有することで、『優勝はいいものだ』とみんなが実感できるし、『2度、3度優勝したい』とチーム全体が思うようになる」
そういう、ひとつひとつの思いが、ビッグクラブになるチームには必要だ、ということを理解しているがゆえの行動だった。
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