日程のせいではない。日本がACLで勝てない決定的理由 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images Sports

 Jリーグのクラブは、“過去の実績に囚われず、流れゆく時勢の中でいかに戦うか”を突き詰め、ゲームマネジメントの熟成が問われるだろう。

 2月25日。水原三星と対戦した浦和レッズは、敵地にもかかわらず押していた。懸案の攻守の切り替えの場面も、阿部勇樹の天才的センスで上回り、見事に先制点を叩き込んでいる。しかしサイドからの放り込みとタフな競り合いの中、次第に腰が引けてしまう。そして終盤のFK、狼狽したDFはボールを無視した珍妙なマーキングで失点し、2-1と敗北している。

 これは、“90分間のマネジメントで敗れた”と断じざるを得まい。

 その点、韓国Kリーグ王者、全北現代のホームに乗り込んだ柏レイソルは啓示的戦いを見せた。5-4-1とも言えるシステムで守備を第一に、ラインコントロールで相手の勢いを殺し、ポゼッションも守備に使うしたたかさで、0-0と勝ち点1を拾っている。CB鈴木大輔は、劣勢の中で成長を遂げるような逞(たくま)しさを見せた。

 実力が拮抗する中、不利な状況を平常心で凌ぎ切り、その上で攻撃時間を増やせるか。敵を知り、己を知った上での戦術、戦略的マネジメントが、Jリーグ勢のアジア復権の条件になるだろう。

 ACL第2節は3月3、4日に行なわれ、5月にはベスト16が出揃う。決勝は11月に予定され、栄えある勝者はアジア代表としてクラブW杯に出場する。

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