松木安太郎と福田正博が代表監督に求める「条件」とは? (5ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro

松木 外国人監督を招聘するのは、失敗したときに責任を取らせやすいとか、人間関係をこじらせずにすむからというのもあると思うよ。ただ、クラブも組織としてもっとプロ化していくべき時期に来ているのは確かだね。

福田 Jリーグでもどこの国でも、センターフォワードとセンターバックに外国人選手を連れてきて使うチームがありますが、このポジションは体のサイズが求められるので、日本人選手の人材がとくに不足していると思います。しかし、Jリーグでそこを簡単に外国人選手で埋めていたら、このポジションで日本人選手がなかなか育たない。結果的に、センターフォワードとセンターバックの人材不足がさらに深刻になって、日本代表の強化につながりにくい。同時に、現状のJリーグでは、クラブがそのポジションで日本人選手を育成しようとしても、それで結果を出せなかったら降格することもありえる。クラブも監督も、降格するくらいなら外国人選手を使う。なかなか難しいところではあるけれど、この問題にうまく対処できないことには、選手育成はなかなか進まないでしょうね。

松木 若い選手は、試合で使い続ける中で、短期間で急成長することもあるからね。

福田 練習試合ではなく、緊張感のある公式戦を経験することで急激に伸びる。そのことを理解して取り組んでいくべきだと思います。日本代表の強化を考えたときに、育成は切り離せない問題ですから。

松木 これについては次で話をしよう。まだまだ言いたいことは山ほどあるからね。

つづく
part1はこちら>>激論!松木安太郎と福田正博が考える「Jリーグの未来」
photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raitaプロフィール 
松木安太郎
1957年11月28日東京都生まれ。日本リーグ時代、読売(現・東京ヴェルディ)で活躍し、日本代表としても国際Aマッチ12試合に出場。90年に引退後、読売のコーチとなり、93年からヴェルディ川崎の監督に就任。Jリーグ初代優勝監督となった。また、94年にもリーグ優勝して連覇を達成。その後、セレッソ大阪、東京ヴェルディの指揮も執った。現在はテレビ朝日サッカー解説のほか、さまざまな分野で活躍。
福田正博

1966年12月27日神奈川県生まれ。日本リーグ時代、三菱(現・浦和レッズ)に入団し93年からJリーグへ。95年50試合32得点で、日本人初のJリーグ得点王に。日本代表45試合9得点。02年現役引退。S級ライセンス取得後、2008年から浦和レッズコーチに就任。現在はサッカー解説者として『S☆1』(TBS)など各媒体で活躍。

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