松木安太郎と福田正博が代表監督に求める「条件」とは? (4ページ目)
■日本代表監督には、W杯本大会での結果を求めるべき!
松木 ここまで話をしていて思ったんだけど、やはり日本代表監督は目標を明確に提示できる人に率いてもらいたいね。日本サッカー協会も、そこはしっかり人選をして交渉してもらいたい。代表である以上は、勝つことが求められる。W杯出場に導くのは当たり前で、本大会でどういう結果を残せるのかが重要。現状のように、アジアカップ連覇を目指しますとか、W杯アジア予選突破とか、目先の目標ばかりを追うのは、どうかなと。
福田 僕が子どもだった頃や現役時代は、W杯は夢の舞台。その大舞台に出るために、ヨーロッパや南米からさまざまな指導者を招いてレベルの向上をはかって来ました。その結果、日本代表は1998年のフランス大会から5大会連続でW杯に出場。いまでは出場することは当たり前になっていて、本大会で結果を残せるかどうかが問われていますからね。
松木 日本代表のレギュラーでない選手が欧州リーグでプレーできるようになったのも、2010年の南アフリカW杯でベスト16という結果を残したことが影響しているはず。日本サッカーが海外から評価されるには、やはりW杯で勝つことが一番。そう考えたら、Jリーグがさらに魅力的になって、いい選手をたくさん輩出して、日本代表をもっともっと強くしてもらいたいね。
福田 そのためには、今後は誰が代表監督になろうとも、すべての面において結果を求めていくことが重要になるでしょうね。パスサッカーだろうとカウンターサッカーだろうと、何のための戦術かと言ったら、試合に勝つため。手段と目的を履き違えてしまう人が多いですけど、なぜ自分たちのスタイルを求めるかと言えば、それは、より高い確率で勝てる方法を手にしたいから。しかも、サッカーは相手がいるスポーツだから、ひとつのスタイルしかできないよりは、多くの引き出しを持っておいた方が勝つ確率は高まる。W杯での結果を最優先に考えたら、実はシンプルなんですよね。
松木 日本人は試合内容を気にするし、「試合に勝って勝負に負けた」というのを嫌うのかもしれない。だけど、32カ国しか出られないW杯に、FIFAランキング40位台で出場するということは、ほとんどの対戦国は格上になる。格上との対戦は、内容うんぬんじゃなく、押し込まれても勝つしかない。どんな相手でも勝つということを、もっと突き詰めないといけないね。
福田< そのためにも、やはりJリーグが重要ですね。「日本代表を強化するためのJリーグ」というリーグ誕生時の理念を、クラブレベルから全員がもう一度共有し直す時期だと思います。たしかに、選手のレベルは海外でプレーする選手がこれだけ増えるまでになった。だけど、それだけではまだ足りなくて、監督やコーチなどの指導者も育成しなければいけない。それなのに、Jリーグは外国人監督を連れて来るクラブがまだまだ多いと思います。
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