ナビスコ杯優勝。ガンバ遠藤、今野、宇佐美が「三冠宣言」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 1点を返して勢いに乗るガンバは、後半9分、宇佐美のアシストでパトリックが同点ゴール。26分には、後半から入ったMF大森晃太郎がゴールを決めて、3-2と劇的な逆転勝利を飾った。

 2点のビハインドを引っくり返して勝つことは、本当に力がないとできないことだ。まして、決勝ともなれば、0-2となった瞬間に、動揺したり、焦ったりしてしまうものだが、ガンバには誰ひとりとしてそういう選手はいなかった。この試合で見せたガンバの"力"は、本物だった。

 MF今野泰幸が言う。

「失点して慌てると、僕らは前に行き過ぎて、それでスペースが空いて、カウンターを食らったりして、いいことがないんですよ。だから、0-2になっても、焦らず、慌てなかったのはよかった。そうすると、(ガンバは)しっかりとパスをつなぎながら、どこにスペースがあるのか、(相手の)どこが弱点なのかをきちんと狙って、速攻、遅攻、サイド攻撃、ショートカウンター、さらに敵DFの裏を突くパトリックの一発と、あらゆる攻撃を使い分けて仕掛けることができる。その分、相手は(自分たちを)捕まえづらい。サンフレッチェも、僕らの攻撃を抑えるのが大変だったと思う」

 シーズン当初に比べて、ガンバの攻撃の"パターン"は明らかに増している。その中から、選手たちが状況に応じて取捨選択し、最善の策を講じていく。例えばこの日の序盤、4-4-2のシステムで、遠藤は中盤のダイヤモンドのトップ下に入っていたが、あまり機能していなかった。

「(最初は)真ん中の厳しいところでボールをもらいながら、周囲を生かすイメージだった。でも、開始から10分くらい経過して、自分のところにボールが入ってこなかった。それで(途中から)何かしらの打開策を自分なりに考えながらやっていた」

 そう語った遠藤は、前半途中からサイドに流れてボールをもらうようになった。その結果生まれたのが、パトリックの1点目だった。

 さらに2点目は、宇佐美がMF阿部浩之の背後にいたパトリックにうまくパスをつないだものだった。敵の背後を突く「パトリック狙い」を応用したゴールパターンだった。

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