ナビスコ杯優勝。ガンバ遠藤、今野、宇佐美が「三冠宣言」

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ガンバ大阪の選手たちがピッチ上で円陣を作って、勝利の儀式となる『輪になれナニワ』を踊って歓喜した。ナビスコカップ決勝戦で、サンフレッチェ広島に3-2と逆転勝利。2007年以来、7年ぶり2度目となる栄冠を獲得したのだ。

 ガンバが最後に手にしたタイトルは、連覇を遂げた2009年度の天皇杯だった(決勝は2010年1月1日)。それからこの日まで、J2に降格するなど紆余曲折があった。苦しい時期を乗り越えてきたからこそ、選手たちは喜びを爆発させた。途中交代でベンチに下がっていたFW宇佐美貴史は、ホイッスルが鳴る前から男泣き。試合後は、涙で前が霞み、立ち上がれないほどだった。

ナビスコカップ2度目の優勝を飾ったガンバ大阪。ナビスコカップ2度目の優勝を飾ったガンバ大阪。 試合は前半、サンフレッチェのペースだった。ガンバはサンフレッチェのハイプレスに苦しんで、なかなかいい形を作れなかった。すると、前半20分にPKで先制点を与え、さらに35分、追加点を許した。この瞬間、宇佐美は愕然としたという。

「この時点で『終わった』と、(勝負を)諦めかけました」

 だが、すぐに気持ちが切り替わった。

「2点を取られたことで、逆にそれまでの硬さがとれたんです。それで、勢いがついた。結果論ですけど、僕らの目を覚まさせてもらったと思います」

 2発の強烈なパンチを食らったことによって、本来の動きを取り戻したガンバ。そこからギアを入れ直すと、3分後にMF遠藤保仁の絶妙なクロスからFWパトリックがヘディングでゴールを決めた。

「この試合は、この1点に尽きるかな、と思います。1点差になって、後半『絶対にいける!』と思いました」

 宇佐美のこの読みは的中する。

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