代表強化を本気で考えたとき、Jリーグが選択すべき道 (3ページ目)
世界の厳しさを知って、世界トップの戦いで通用する選手になるためには、やはり上のレベルでプレイすることが求められる。そういう意味では、Jリーグは当分の間、「ステップアップのためのリーグ」という位置づけであってもいいかもしれない。Jリーグで活躍して、ヨーロッパに出て行く。それは、決して悪いことではない。むしろ、どんどん出て行けばいいと私は思う。「世界」を体感するには、今のところそれしか方法がないわけで、第一に代表の強化ということを考えるならば、そこは割り切って考えていくしかないだろう。
そのためには、リーグとしては選手が海外に出て行きやすい状況を作ることが重要になる。そして、海外で活躍できなかった選手がすぐに戻ってこられるような環境整備もすべきだろう。また、海外へ移籍する選手は、「自分はJリーグで育ててもらったんだ」という気持ちを忘れずにいてほしいし、クラブにお金を残していく形での移籍を心がけてほしい。育成にかかった資金がしっかり回収できる流れができれば、クラブにとってもいい循環が生まれることになるからだ。
トッププレイヤーがこぞって海外に出ていってしまうのは、Jリーグ人気という面で心配はあるが、さっきも言ったように、何が何でも代表を強化したいと考えるのであれば、一定の期間は、Jリーグがある程度の犠牲を払うしかないのではないかと思う。そもそも、Jリーグを作った大きな目的のひとつは、日本代表を強くすること。いろいろと難しい面があるのはわかるけれど、原点を思い出して、リーグが日本代表に全面的に協力する、そんな姿勢も必要だろう。
例えば、日程だ。日本代表が海外遠征をするときは、試合だけではなく、トレーニングもできるように、Jリーグを中断する。海外遠征に限らず、国内組だけで強化合宿を行なう場合も同じ。クラブ経営にも関わってくることだから、簡単ではないことは十分にわかっている。しかし、日本代表の強化を本気で考えるならば、多少の犠牲を払ってもクラブが協力するくらいの覚悟は必要だと思う。
それに、日本代表に選ばれている選手に、ファンの目は向く。つまり、選手の知名度を上げることができる。それは、クラブにも、Jリーグ全体にも還元されるはずだ。
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