日本の宝。鹿島の新エース・柴崎岳の「モダンスタイル」 (2ページ目)
そうしたスタンスが評価されてか、今季は主将の小笠原満男が途中交代でピッチを離れるときなどは、柴崎がキャプテンマークを引き継ぐ機会が増えている。
特筆すべきは4月2日、ナビスコカップ第2節のサガン鳥栖戦だ。タイトなスケジュールの中、出場機会の少ない選手たちのモチベーションなども考慮して、4日前のJリーグ第5節からスタメン5人を入れ替えて試合に臨んだ。小笠原はベンチ入りもせず、完全休養。代わってキャプテンを任されたのは、柴崎だった。トニーニョ・セレーゾ監督が語る。
「ベテランとか若手とか年齢に関係なく、チームのために、献身的な犠牲心を持ってプレイできる選手に、キャプテンを任せるのが鹿島の伝統。柴崎はプロ意識が高く、日々のトレーニングに対しても真剣に取り組んでいる。どんなときでもチームのために戦おうという姿勢が伝わってくる。将来に向けた期待だけではなく、普段の姿勢からもキャプテンを託すにふさわしい選手だ」
柴崎は、その期待に見事応えた。公式戦で最初からキャプテンマークを巻くのは初めてだったが、攻守にフル稼働してチーム全体を掌握。3-1の勝利に貢献した。
今季の柴崎は、プレイ面における進化も著しい。一般的には「ボランチ」と認識されているだろうが、時にはトップ下に入るなど、一試合の中で一人二役を演じることが多々ある。
セレーゾ監督が、その狙いを明かす。
「ボランチの位置よりも前で、柴崎の持つ技術とアイデアを生かしたいと思った。それが、チームにプラスアルファーをもたらしてくれるからだ」
事実、Jリーグ第5節(3月29日)の横浜F・マリノス戦(3-1)では、トップ下に上がった柴崎が後半42分、相手DFラインの背後に抜け出して、ダメ押しとなる3点目を決めた。続く第6節(4月6日)のガンバ大阪戦(2-0)でも、後半38分にカイオのゴールをアシストした。
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