苦境の香川真司は、マンUで何をすべきか? (2ページ目)

  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 今、香川が抱えている問題はそこにあると思う。技術、体力面に大きな問題はないはずだ。試合勘やスタミナの問題は多少あると思うが、それよりも、不安や焦りが、プレーに悪影響をおよぼしていると思う。

 次の代表戦は5月(27日のキプロス戦)。それまでクラブでどうすごすかが重要になってくる。もちろん、1試合でも多く出場できたほうがいい。

 ただし、試合に出るために、香川が何かを変える必要はないと私は思っている。モイーズ監督に起用されるために何かを変えていく時期ではないし、しっかり自分のプレーができるように整理してやっていってほしい。体のキレや技術など、香川の調子が悪いわけではなくて、モイーズ監督が志向するサッカーに合っていないというだけ。監督の考え方と香川のプレースタイルが一致してないだけだから、自信を失う必要はない。

 前線にファン・ペルシーとルーニーがいる場合、香川のポジションは左サイドになる。このとき、香川が、日本代表でプレーしているときのようにインサイドに入ってきて、空いたスペースに左サイドバックが出てくるという形になればいいが、モイーズ監督がそうしたスタイルで戦うことは考えづらい。

 それでも、アシストを決めた前節のリーグ戦(アストンビラ戦/4-1でマンUが勝利)のように、出場のチャンスが巡ってきた時には、自分のプレーをしっかり出す。それに尽きる。

 今季、少ないチャンスで香川がゴールという結果を出しているのかというと、まだ出せていない。なぜ香川がマンチェスター・ユナイテッドに移籍してきたか。それは、ドルトムントでゴールという結果を残したから。セレッソ大阪でも点を取って、それが評価されてドルトムントに移籍した。つまり、点を取ることができる選手だから評価され、クラブが獲得を決めたということだ。ヨーロッパでは、前線の選手は点を取れなければ評価されない。香川はもともと得点能力が高い選手なので、チャンピオンズリーグなどでチャンスを生かして、ゴールを決められることに期待したい。

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