新キャプテン・松井大輔は「ジュビロの太陽」になれるか?
これまで5試合を戦って、3勝1分け1敗の勝ち点10。同じ勝ち点の松本山雅FCとV・ファーレン長崎に得失点差で上回り、現時点、勝ち点15の首位湘南に次ぐ2位という成績は、ジュビロ磐田にとって決して悪くない成績ではある。
しかしその一方で、いきなり開幕戦(札幌戦/0-1)を落としたせいもあってか、周囲はそれを"順調な滑り出し"とは見ていない雰囲気もある。
これまで数々のタイトルを獲得した名門クラブに対する周囲の要求は、当然ながら高い。前田遼一、駒野友一、伊野波雅彦、山田大記、そして今季加入の松井大輔と、日本代表経験者が並ぶ。これだけの戦力を擁していれば、J2で独走優勝するのは当たり前。多くの人が、そう考えているのが現実だ。
「もちろんそういう風に見られても仕方ないと思うんですけど、実際、J1昇格はそんなに簡単なことじゃないと思う。今日も勝てる試合だったのに、最後に追いつかれてしまった。まずは、こういう問題点をしっかり改善して、勝ちきれるチームにならないといけない」
第4節のアビスパ福岡戦後にこう語ったのは、約10年間プレーし続けたヨーロッパを離れ、今季、久しぶりにJリーグのピッチに戻ってきた松井大輔である。
今季、ジュビロ磐田に移籍し、キャプテンマークを巻く松井大輔 1年でのJ1復帰をノルマとするジュビロが、その切り札の1人として、ポーランドのレヒア・グダニスクから獲得した期待の新戦力。獲得交渉に際しては、クラブ改造に着手する加藤久GM自らがポーランドに足を運んだというから、その熱心さがうかがえる。
また、松井を今季のゲームキャプテンに指名したことも、クラブの期待の表れだろう。さすがにこれは、本人も予想していなかった大抜擢だったが。
「他にやる人がいなかったんじゃないですかね(笑)。でも、キャプテンマークを巻くようになって、責任感が増すというか、声を出したり、周りの様子を見たり、チーム全体のことも考えたり。そういう意識に変わってきていますね」
いつも自分を主語にしてものごとを語っていた以前の松井からは想像もつかないような台詞(せりふ)ではあるが、確かにこの大胆人事は、松井にとってもチームにとっても、プラスに作用する可能性は高いと思われる。
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