新キャプテン・松井大輔は「ジュビロの太陽」になれるか? (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 周囲が期待している“常勝軍団ジュビロ”は、試合を重ねるごとに良くなっていることは間違いない。ハマったときは、見ていてワクワクするような攻撃サッカーを見せられるようにもなっている。あとは、キャプテン松井が自身のパフォーマンスをさらに向上させることができれば、鬼に金棒だ。

「コンディションは少しずつ良くなってきています」と語る松井だが、今季はまだフル出場をするまでに至っていない。個々の役割が明確で、より効率的なサッカーを主流とするヨーロッパと違って、日本では各選手が常に動き回るプレースタイルなので、どうしてもそのペースでプレーすると後半に足が止まってしまうのだ。

 ヨーロッパ仕様から日本仕様へ。10年もヨーロッパでプレーしていたので、これには時間を要するかもしれない。ただ、そんな中でも、京都時代、ル・マン時代、そしてグルノーブル時代(ともにフランス)に2部リーグでプレーした経験を持つ松井が、ジュビロに与えるものは少なくないはずだ。

 福岡戦では、途中交代のときにキャプテンマークをチームメイトに渡すのを忘れてベンチに下がってしまうなど、まだ本人の中でもキャプテンが板についたとは言えないのかもしれない。しかし、松井の中に芽生え始めているリーダーシップが本物になるに従って、自ずと個人としてのパフォーマンスも向上していくだろう。

 また、今季は自らPKキッカーを志願するなど、これまでの松井には見られなかった得点への意識、いわゆる“結果”に対するどん欲さも見られるようになった。これもまた、キャプテンとしての自覚、責任感の表れといえる。

 かつてフランス2部のクラブ、ル・マンを1部昇格に導き“ル・マンの太陽”と呼ばれた松井。今、10年の歳月を経て、“磐田の太陽”となれるのか。まだ始まったばかりの松井とジュビロの戦いは、今後も注目に値する。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る