本田圭佑のプレーに自信とリズムをもたらしている3つの要素 (2ページ目)
つまり、移籍したばかりの本田にとって、自分のプレーができずにイライラして、自分自身を見失い、焦ってしまう要因は数多くある。しかし、本田は焦ることなく平常心で、自信を持ってプレーができている。その自信の裏付けは、これまでのヨーロッパでの経験だ。チャンピオンズリーグでもロシアでも、オランダでも自分のプレーができた。
26日のカリアリ戦でも、ボールを引き出そうと、何度も繰り返し動いていた。もちろん、パスが出てこない時もある。それでも、いいタイミングで何度も何度も動き直した。あれだけの選手が揃うミランで、いいタイミングで顔を出せば、今後はもっと本田にパスが出てくるだろう。
2■フィジカルの強さがもたらす環境適応能力
また、本田はヨーロッパで通用する「フィジカル」を持っている。これも彼に大きな自信を与えているといえる。そういう自信があるから、本田は落ち着いて、慌てることなく、自分のリズムでプレーができている。
本田はこれから、監督はもちろん、周りの選手にもっと認めてもらわないといけない。イタリアは1-0で勝つ文化。パスが10本つながったから1点になるわけではないのだから、「本田が加入してうまくボールが回るようになりました」だけではもちろんダメだ。ゴールという結果を残すことが絶対に求められる。サポーターもクラブも結果にこだわる。
以前、岡崎慎司が「チームに求められることをやっていかなきゃ試合に出られない」という言い方をしていたが、サッカーはチームスポーツなので、チームカラーや、クラブの伝統などにうまく適応していくことが求められる。
ただし、求められることだけを一生懸命やって自分の良さを出さないのは、また問題がある。自分本位ではなく、チームにうまく適応し、そのうえで自分の良さが出るようにしていくこと。それが、サッカーで一番求められる能力だ。
だからこそ自立しなくてはいけない。自分で判断して、決断して、実行して、何を選択しなくてはいけないのか状況を把握する。いいプレーとは、状況に応じて最善の選択をすることだ。最善をチョイスできることはひとつの能力であり、その最善のプレーをチョイスできるためにはテクニックがなくてはいけない。つまり、トップクラブの選手であればあるほど、状況に合った適切な判断ができるもので、それが最高のプレーになっていく。
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