ベスト16敗退も、U-17が示した「世界との戦い方」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki 赤木真二●写真 photo by Akagi Shinji

 しかし吉武監督は、そうした『常識』や『一般論』を疑い、独自の方法論で選手を成長させ、チームを強化してきたからこそ、これだけの試合ができたのも間違いない。

 アジアでの戦いなら当たり前の光景だが、世界の舞台で日本がこれだけボールを支配し、ヨーロッパのチームに防戦を強いた試合は、年代を問わずほとんど記憶にない。日本の攻撃に振り回され続けたスウェーデンは、後半なかばから、ただただゴール前を固めるしかなく、日本のボールポゼッション率は4試合で最高の75パーセントにまで達した。

「今日のゲームを10回やったら、どっちが多く勝つか分からない。1回の結果で(これまでのやり方を)変えるつもりはない」

 スウェーデン戦後、吉武監督はそう語っていたが、大いに賛同できる。日本が本当に世界の強豪と肩を並べようと思うならば、奇襲戦法で勝負に出たところで意味はない。10回対戦して勝ち越せるような試合をし続けてこそ、本当の進歩なのである。

 その意味において、今大会でのU-17日本代表の戦いぶりは、大きな進歩を感じさせてくれるものであり、称賛に値するものだったと思う。

 もちろん、彼らに足りないところを挙げればキリがないが、将来、日本が世界と伍して戦うための新たな可能性を示したことは確か。気になるのは、日本サッカー協会がこれをどう評価し、A代表を頂点とする上の世代につなげていくのか、である。

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