サンフレッチェの切り札。野津田岳人への「驚くべき待遇」
2013年Jリーグ
頂点争う「3強」のキーマン(1)
サンフレッチェ広島編
残り4試合となった今季のJリーグ。熾烈な優勝争いを勝ち抜くには、当然ながら各チームともに総力戦となる。そこでポイントとなってくるのが、スタメンだけでなく、途中出場から流れを変える"ジョーカー"の活躍だ。第30節を終えて3位につけるサンフレッチェ広島(勝ち点56。首位・横浜F・マリノス=勝ち点59、2位・浦和レッズ=勝ち点57)で言えば、MF野津田岳人こそ、その存在に当たるだろう。
プロ1年目のルーキーとはいえ、野津田岳人の実力はチームメイトの誰もが認めている。
トップで活躍する選手を数多く輩出してきた広島ユース出身の野津田は、ユース上がりの大先輩であるMF森﨑和幸やMF髙萩洋次郎と同じく、高校生(2種登録)だった昨シーズン、すでにJのピッチを経験(リーグ戦5試合、カップ戦2試合に出場)。今季、目立った補強を行なわなかった広島において、正式にトップチームの仲間入りを果たした彼には、開幕前から大きな期待がかけられていた。
実際、エースFWの佐藤寿人が「いずれ日本代表としてプレイする逸材」と太鼓判を押す野津田は、浦和レッズとの開幕戦(3月2日)にベンチ入り。チームが1-2という劣勢に立たされている中、後半32分にピッチへと送り出された。
「メンバーに入れたのはうれしかったし、(周囲の)期待も感じました。とくにかくゴールに絡めたらという気持ちでピッチに立った。少しはチャンスを作れたかもしれないけど、まだまだ。もっと落ち着いてプレイしないと。自分が求められているのは、流れを変えたり、攻撃の起点になること。そこをもっと出していければと思う」
プロとして、リーグ開幕戦(1-2で敗戦)のピッチに初めて立った心境をそう語った野津田。試合前日は学校行事のため、練習には不参加だったものの、大事な開幕戦、それも苦しい状況の中で投入されことで、野津田に対する森保一監督の評価の高さがうかがえた。以降、体調不良だった第22~24節を除けば、すべてのリーグ戦(27試合)にベンチ入りして、今季は第30節を終えて17試合に出場している。
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