なぜザッケローニ監督は「3-4-3」を封印しているのか? (2ページ目)

  • photo by D.Nakashima/AFLO

 ちなみに、3バックか4バックかの違いは、アタッカーにはそれほど大きな影響はないと思う。それよりも、FWは、サイドアタッカーなのか、ツーシャドーなのか、またはワントップなのかツートップなのか、ということのほうがプレイに影響してくる。

 代表チームの場合、そういった、各選手が所属するクラブがどういうシステムを採用しているかを考慮して構築をしていくほうが、チームづくりを進めるうえで、時間がかからないはずだ。

 クラブチームであれば、監督は自分のやりたいスタイル、フォーメーションを比較的表現しやすい。たとえば、ザッケローニ監督がユベントスなどのクラブで監督をやっていたときは、細かいことをいろいろ選手に指導できる時間があったと思う。トレーニングはほぼ毎日できるし、戦術に合わせて選手補強もできる。3バックを採用したいなら、その適性のある選手を、国籍を問わず獲得することができる。そうすれば、選手に戦術が浸透するスピードもアップして、チームづくりもやりやすい。

 それに対して、代表チームはクラブチームほどの練習時間を確保できないし、招集できるのは日本人選手だけ。今、日本代表に招集されている選手の顔ぶれを見ると、4バックのサイドバックとサイドアタッカーに適性のある選手が多い。どんな選手がいるのかをしっかり見きわめてシステムを決めるのであれば、選手たちが得意とする布陣、普段やり慣れている布陣でやるべきなのかなと思う。

 現在の日本代表は海外組が増えたこともあって、全員を集めてトレーニングする時間が以前の日本代表より少なくなっている。代表合宿で新布陣を一時的に習得しても、所属クラブに帰って違う役割を与えられていたら、なかなか習得できない。そのため、新しいシステムをマスターすることが難しく、時間のロスになりかねない。

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