2013.05.03

Jリーグ序盤戦総括。そして今後が楽しみなチームは?

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 勝負に徹底的にこだわるということに関しては、ジーコ監督もそうだった。それは、自分がブラジル代表選手の時に、「黄金のカルテット」と言われて期待されながら、W杯で負けて帰ったら戦犯扱いされた経験も影響しているはずだ。それこそ、卵をぶつけられるぐらいでは済まなかっただろう。また、鹿島の監督だったオリベイラ監督はよくこう言っていた。「結果を残さずにいいサッカーをしたからといって、私がクビにならない保証は何もない。だから私はジャッジに対して不満も言うし、勝ちにこだわる」と。

 その鹿島は今季からトニーニョ・セレーゾ監督が就任して、堅実なサッカーで上位をキープしている。大迫勇也もケガから戻ってきてゴールを決め始めており、野沢拓也が復帰したのでFKやCKなどリスタートからの得点も増えていくはずだ。堅守、速攻、セットプレイという特長は健在。FWには新たにダヴィが入って、前線にスピードが出ているし、なんといってもMF柴崎岳の成長は非常に大きい。

 一方、内容と結果のジレンマが表れているのが、風間八宏監督の川崎ではないだろうか。リーグでも1、2を争うほどのポゼッション率の高さだと思うが、ポゼッションを高めることはサッカーの目的ではなく、あくまでもゴールを奪って勝つための方法、手段。ポゼッション率が高いというだけで評価につながることはないし、勝てない試合が続くと、選手たちが「このままでいいのか」と不安に陥ってしまう。

 結果が出ないことで、自分たちのスタイルに対して選手が疑心暗鬼になってきたときに、ちょっと監督の方針が変わったりすると、チーム全体がブレ始めて、選手たちは混乱しやすい。中心にいる監督がちょっとブレるだけで、プロサッカークラブという組織の末端にいる選手はものすごく影響を受けて、大きくブレてしまいかねない。

 そうならないためには、ブレずに自分たちのスタイルを貫いて結果を出すしかない。ただし、「言うは易し行なうは難し」で、解説者が言うくらいのことは、現場の監督やコーチはすでにわかっているはず。

 解説者は「ここを直したほうがいい。そのためにこうしたほうがいい」と言うことはできるが、それを直すために実際どうするのかを試行錯誤するのが現場。「こういう症状の時はこの薬です」というような決まった処方箋はない。どのチームも選手はそれぞれ違うし状況も違う。だから、これをやれば必ず良くなるという保証は何もない。

 これは大宮のベルデニック監督が言っていたことだが、プロサッカーチームの監督にとって、「勝つことが最大のマネジメント。それ以上のマネジメントは存在しない」。理想を掲げつつ、現実という結果をどれだけ積み上げていけるか。そのためには、クラブやサポーターも含めて、どれだけ監督をバックアップできるか。ペトロビッチ監督時代の広島のように「J2に落ちてもこの監督のスタイルでやるんだ」という覚悟を持ってやれるかどうかではないだろうか。

 また、ほかのクラブではFC東京にも注目している。試合内容はさまざまな部分で相手を圧倒しているし、勇気を持ってチャレンジするという姿勢が全選手から感じられる。この先うまくステップアップしていけば、非常に面白い存在だと思う。

 前年王者の広島もじわじわ順位を上げているし、名古屋もケネディが復帰して巻き返してくる気配がある。柿谷曜一郎が活躍しているセレッソ大阪なども含めて、上位争いがどうなっていくか、これからのJリーグにも楽しみが尽きない。

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