18戦無敗のJ1新記録。大宮が浦和戦で得た、もうひとつの勲章 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

※(H)=ホーム、(A)=アウェー※(H)=ホーム、(A)=アウェー 劣勢となった後半だけを取り上げれば、シュート数は大宮=1に対し、浦和=5。コーナーキック数も大宮=1対浦和=6である。実際、後半はそのほとんどの時間が大宮陣内で費やされた。

 その原因のひとつには、「これまでの試合ほどに中盤での大宮のプレスが機能しなかったこと」が挙げられる。中盤の守備網を突破され、浦和MFの柏木陽介やマルシオ・リシャルデスに食い込まれることが何度かあった。大宮DFにしてみれば、自分のマークする選手を見張りながら、ボールを持ち上がってくる選手にも注意を払わなければならないという難しい対応を迫られた。大宮のセンターバック、菊地光将が振り返る。

「後ろでパスを回される分には気にならなかったが、(相手MFに)フリーで持ち上がられたときが嫌だった」

 結果的に大宮は、後半だけで6回ものオフサイドを奪い、浦和の攻撃を巧みに封じ切ったようにも見えた。だが、菊地が「紙一重のところだった」と話すように、すべてが狙い通りに仕掛けたワナではなかったのだ。

 しかし裏を返せば、すべてが思い通りに進んだわけではなくとも勝利を手にできたことは、だからこそ、価値があった。

 苦しい展開になっても、ピッチに立つ選手たちの気持ちはまとまっていた。ボランチの青木拓矢が「後半、(浦和の)センターバックが上がってきてマークがつかみにくくなったので、そんなに(前からのプレスに)出なくていいから、中央を閉めようと考えた」と言えば、菊地も「(サイドから攻められても)最後は中央の勝負。そこでのマークをしっかりやれば、(GKの)北野(貴之)さんを中心に守れると思った」と話す。

 押されながらも大宮は、「自陣で守備に追われる時間もあったが、割り切って奪った後のカウンターを狙った」とベルデニック監督。浦和に決定的なシュートを許すことはなかった。

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