チームを勝利に導くためになすべき「監督の五カ条」 (2ページ目)

  • photo by Nakashima Daisuke/AFLO

 実際、浦和時代のオジェック監督(現オーストラリア代表監督)はその選択をした。2007年、これは浦和がAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝したシーズンだったが、実は、オジェック監督は、当初フォーメーションを4バックに変えようとしていた。しかし、チームはそれまでずっと3バックでやってきていたため、4バックの練習をしても、選手達がうまく対応できなかった。

 そこで、オジェック監督は考えを切り替えた。本当は4バックにしたいが、結果が出ない以上はやるべきではない。選手が混乱するのなら従来の3バックでやっていく。その決断も早い方がいい、と。そして、その結果ACLで優勝した。

 現在、日本代表のザッケローニ監督が3-4-3を封印して、4-2-3-1を継続しているが、それも同じような理由なのではないかと思う。つまり、監督という職業は、ときには「捨てる勇気」が必要になるということ。あまりにもひとつのフォーメーションや戦術にこだわってしまうと、変な方向にチームが行ってしまう可能性が十分あるからだ。

2:チームの方針を立てる

 監督には、やることが非常にたくさんある。広島の森保一監督は「自分のように経験のない監督は、あれもこれもやりたくなる。これはいろんな監督の下についてヘッドコーチをして分かったことだけど、全部やろうとしても絶対にできない。だから、できることを順にやっていく」と言っていた。そして、「(優勝した)昨シーズンはそれができた」と。

 監督のもとにはあらゆる情報が集まってくるので、どうしても「あれもやりたい。これもやりたい」となりがちだ。しかし、それらをすべてやることはほぼ不可能。だからこそ、まずできることを、優先順位をつけて確実にやっていく。そのときに、「捨てる勇気」がなくてはいけない。いろんなものに手をつけると、何が必要で、何が不必要か分からなくなってくる危険性もあるからだ。

 もちろん、チーム状況、選手のコンディションに合わせて優先順位は変わってくる。それも監督が決めてやっていかなくてはいけない。取捨選択を正しくできるかどうかだ。どんな監督でも、試合後に「ああ、あれをやっておけば良かった」と思うことはが度々あるだろう。そして、その連続だと思う。完璧に準備して試合に臨めるなんてことはほとんどないはずだ。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る