チームを勝利に導くためになすべき「監督の五カ条」
日本代表に就任してから、結果を残し続けているザッケローニ監督フォーメーション進化論 vol.39
フィンケ監督が浦和を指揮していたとき、私と同世代の東ドイツ出身のコーチを連れてきた。彼は選手時代をまだ東西に分かれていた頃の東ドイツですごしていた。あるときそのコーチが「なぜ東ドイツがサッカーの世界でナンバーワンにならなかったと思う?」と聞いてきたことがあった。
その答えは「東ドイツのサッカーは機械的なトレーニングばかりだった。でも、サッカーはそういう機械的なスポーツじゃない。人間味のないある種ロボットみたいな選手になってしまっては、いろいろな発想ができなくなる。サッカーはただ走って、決まった動きだけをするスポーツじゃないから」というものだった。
つまり、サッカーは人間同士がつながるスポーツで、クリエイティブにいろんなことを考え、チームでやっていくスポーツということ。そこがサッカーの面白さであり、機械ではなく、複数の人間が連動する競技なのだから、監督は選手たちのことを考えて、戦術やフォーメーションなどさまざまなことを考慮し、指導しなくてはいけない。
1:チーム力と選手を把握する
たとえば、これまでずっと4バックがベストだと思って指揮をとってきた監督が、新しいチームの戦力を考えた時に3バックにした方が結果を出せると判断することも、あるいはその逆のことも当然ある。
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。