【Jリーグ】レッズ・興梠慎三が絶大な評価を受けているワケ (2ページ目)

  • 小齋秀樹●文 text by Kosai Hideki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 永田から興梠へと縦パスが入れられ、興梠が処理。その後にボールを受けるのが、3-4-2-1の『2』の位置でシャドウストライカーとしてプレイする原口元気だ。

 原口は、昨年6月以降、チーム事情により1トップを務めていた。屈強なDFを背中で抑えつつボールを受けるのは、生粋のドリブラーだった彼には不慣れなことで、随分と苦労していた。

 永田と同様、原口も「ボールの収まり具合がすごく良い」と語る。
「どんなボールでも上手く収められる。そこは本当に慎三くんの強い部分だと思う。去年、僕がああやってできていたら、シャドウの選手がもっと生きていたはずだと思います」

 どんなボールでも「慎三くんなら処理してくれるだろう」という信頼が、原口にはある。だから原口は『次』を予測して走ることができる。少ないタッチ数で興梠から原口へとボールが渡ったときには、相手DFはすでに後手に回っている。そんな興梠とのプレイを、「一緒にやっていて楽しいし、何より、心強いですね」と原口は絶賛する。

 3試合を終え、興梠本人はこう語っていた。
「点につながるようなプレイができているし、試合を重ねるごとに良い試合ができてきているので、それに関してはすごく良いと思っています。でも個人的には、FWですから得点が求められるし、シュートゼロというのもあるので、そこは気になるところです」

 苦笑しながら「そんなに焦らずにやっていきたいなとは思っていますけどね」と付け加えた。

 浦和に来て、4試合目の出場となったリーグ第3節の大分トリニータ戦。興梠は前半に移籍後初シュートを記録。後半には"あとは押し込むだけ"の絶好機を迎えたものの、シュートはバーを越えてしまう。2-2の結果に「引き分けは僕の責任」と肩を落とした。

 だが、この大分戦のウォーミングアップ時には、レッズサポーターから彼のためのチャント(応援歌)が初めて歌われている。第3節でというのは、新加入選手としては異例の早さだ。

 それはすなわち、ゴールがなくとも、興梠慎三のプレイがサポーターの心をつかんだということに他ならない。

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