【Jリーグ】若手の海外移籍続出で、岐路に立たされたJリーグのクラブ経営 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 かつては、「一緒にスポンサーが付いてくるから」とか、「日本でレプリカユニフォームが飛ぶように売れるから」といった理由で、海外クラブが日本人選手を獲得することも多かった(少なくとも、そう揶揄されることは多かった)ことを考えれば、状況は明らかに変化している。

 だとすれば、今後はJクラブも受け身に立つばかりでなく、自ら積極的に選手を売りに出すことも考えるべきだろう。まして最近のJリーグは、全体的に人件費(選手の年俸)が縮小傾向にあるのだからやむを得ない。

 昨年末、あるFIFA公認代理人がこんなことを話していた。

「今年のシーズンオフは、なかなか次の契約先(となるクラブ)が決まらない選手が多い」

 その背景にあるのは、「Jリーグにクラブライセンス制度が導入されたことで、各クラブが人件費を抑えなくてはならなくなった(債務超過が許されなくなった)」ことだというのだ。

 新聞報道によれば、リエージュへ移籍した小野裕の移籍金は約2億4千万円、年俸は約6千万円だという。おそらく小野裕にそれだけ支払えるクラブは、日本には存在しない。

 そもそも選手の海外志向が強いうえに、待遇面でもかなわないとなれば、今後、さらに海外移籍が増える可能性は十分にある。

 所属選手の海外移籍を、いかにビジネスとして成功させるか。それはJクラブにとって、健全経営を進めるうえでの重要課題となりそうだ。

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