【日本代表】
ザッケローニ監督が考えるダブルボランチの理想的バランス
ザックジャパン不動のダブルボランチ、遠藤保仁と長谷部誠福田正博 フォーメーション進化論 vol.34
ザックジャパンは、左右のSB同様、ダブルボランチについてもバランスを考えた起用がされている。スタメンの遠藤保仁も長谷部誠も攻守の両面において非常にバランスの取れた選手だ。ザッケローニ監督の構想の中では非常に重要な存在といえる。
ボランチ、あるいはアンカーというのは、どんなチームであっても監督の考え方がもっとも出やすいポジションだ。ここに誰を起用するか、1枚にするのか2枚にするのかは監督の戦術の基本となる。
ザックジャパンでは、遠藤はどちらかというと、守備よりもゲームを組み立てていく役割を担っているが、ザッケローニ監督としては、ボランチに遠藤のようなゲームメーカーをふたり置くという考え方はないだろう。ガンバ大阪でも、遠藤のパートナーには守備的なカバーができる明神智和が起用されることが多いように、代表では長谷部が守備的な役割を果たすことでバランスをとっているといえる。
ただし、長谷部は守備だけ、遠藤は攻撃だけということでもない。どちらの選手も攻守両面でチームに貢献する。だから、長谷部についても、守備に専念させる感じではない。
どちらかがバランスを取ってカバーに入り、どちらかが前に行く。性格的にも、ボランチは特にそうしたバランス感覚が求められる。もちろん、どんどん前に行く攻撃的な選手と、守備で汗をかいて貢献する選手という役割分担はあるが、ただ、あまりにもどちらかに固定してしまうと、ひとりを抑えられた時にもうひとりの選手が何もできないというリスクを背負うことになりかねない。
つまり、遠藤がマンマークで抑えられた時は、長谷部が遠藤の代わりにゲームメイクができなければいけないし、その逆のケースにも対応できなくてはいけない。そういう攻守のバランスをとる必要がある。
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著者プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。