【Jリーグ】理想的成長。首位を走る広島・森保一監督の手腕

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

ペトロビッチ体制を引き継ぎ今季の広島を指揮をする森保一監督ペトロビッチ体制を引き継ぎ今季の広島を指揮をする森保一監督
 10月6日にJ1第28節が行なわれ、首位広島が横浜F・マリノスと0-0の引き分け。2位仙台がG大阪に2-1で勝ったため、広島と仙台の勝ち点差は5から3に縮まった。

 さらに激しさを増す優勝争い。しかし、首位を走る広島の選手たちは冷静だった。キャプテンの佐藤寿人は言う。

「マリノスはそんなに崩れないチーム。6敗しかしていないし、負け数はうちと同じですから。それを考えれば、勝ち点1は悪くない。大事なのは、(勝ち点を)積み上げていくこと」

 まずは守備を固め、カウンターを狙ってくる相手に対し、特に前半は「我慢比べだった」と森保一・広島監督。それでも、「我慢しながら集中力を保ってプレイを続けてくれた」。

 なかでも森保監督が強調したのは、守備面だった。「耐えて粘り強く守備を頑張って、そこから攻撃に移ることを実践してくれた」と、選手を称える。

 象徴的なのは、DF塩谷司だろう。今夏、J2水戸から移籍加入した新戦力は、この試合がJ1初先発。しかもチームは首位に立っているとあって、試合前のロッカーでは「結構緊張していた」というが、DFリーダーの千葉和彦が「守備のところではパーフェクトにやってくれた」と振り返るほどのプレイで、6試合ぶりの無失点に貢献した。

 昨年までの広島の代名詞と言えば、現在浦和を率いるペトロヴィッチ前監督が作り上げた「パスサッカー」。次々に選手が湧き出てくるような厚みのある攻撃が、最大の武器だった。

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