【日本代表】前田遼一に見る日本人らしい「FWのエゴ」とは何か?

  • Photo by Fujita Masato

W杯最終予選で存在感を見せた前田遼一W杯最終予選で存在感を見せた前田遼一
福田正博 フォーメーション進化論 vol.23

 FWというポジションは、ゴールという結果を残せなかったら話にならない。だからこそ、フリーキックを取り合ったり、PKを取り合ったりもする。どんな形で点を取ったかも大事だが、やはりどれだけ数字を残したかが重要になる。

 エゴイスティックな性格が必要とされるポジションと言われるが、エゴをむき出しにして、自分の利益であるゴール数を優先しすぎた結果、プレイの判断を誤って、チームの利益を減じることになってはいけない。それは自分の評価を下げることにもなるからだ。だから目先の利益だけにとらわれてしまうと、問題が生じることもある。

 たとえば、ユーロ2012のスペイン対アイルランド戦で、スペイン代表のイニエスタが、ゴール前でGKと1対1になっても、シュートではなくパスを横に流して、ヘスス・ナバスがゴールしたシーンがあった。このシーンを見て、イニエスタも、大きな意味でエゴイスティックな選手だと私は思った。

 つまり、チームが勝つために自分がどうすべきかを考えた結果のパスであり、チームの利益は自分の利益になるということだ。しかも、あのプレイでイニエスタは自分の評価を高めることもできている。自分が数字を残すことだけがエゴではない。スペイン代表やバルセロナではそういう選手が評価されているということの表れだと思うし、そういう選手がいなければ、トータルフットボールができなくなってきているということだろう。

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