【Jリーグ】4試合8得点11失点。風間フロンターレの明日はどっちだ!? (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLOSPORT

「最終ラインでもっと(ボールを)受けてほしかったが、怖がっていた。それによって、中盤でもうまくボールを持てなかった。もっと高めていかなきゃいけないし、もっと自信を持ってやってほしい」

 実際、センターバックとして最終ラインに入った森下俊の口からも、反省の言葉がこぼれた。

「もっとボランチをうまく使って、(ボールを)当てて、もらって(という動き)を繰り返さないと。(ボールを)受ける動きをもっと増やさなきゃいけなかった」

 キャプテンの中村憲剛も、指揮官の言葉に同調するように、「ボールに関与する人数があまりにも少なかった」と振り返る。

「監督がいつも言うのは、(パスを)出した後にもう一回参加する、ということ。今日は出したら出しっぱなしだった」

 また、自信の欠如と同時に、風間監督は「もっと高めていかないといけない技術がある」とも指摘する。

「組織ではなく、自分で(ボールを)取られないようにすること。粘り強く、細かくやっていかなくてはいけない作業だと思う」

 チャンスらしいチャンスもなく、ノーゴールに終わった後だけに、誰からも厳しい言葉が聞かれるのは、当然のことではある。それでも、この「ボールを取られない技術」に関して言えば、光明も見えた。

 後半に入ると、楠神順平、田坂祐介、大島僚太が自らボールをキープしてマークを外し、パスをつなぐというプレイを連続して行なえるようになった。ややボールキープに終始し過ぎ、ゴールへ向かう意識が乏しくも見えたが、こうしたプレイを続けることで、風間監督の目指すサッカーのイメージに近づいていくはずだ。大島が言う。

「(相手の)背中に入れば、(相手から)自分は見えない。そこでパスを受けて、判断を間違わなければボールはつながる、と監督からは言われている。ここまで的確に教えてもらったのは、風間さんが初めて。実際、(パスを)受けやすくなっている」

 風間監督が「高めていかなければいけないチーム」と表現する川崎は、徐々にではあるが、トレーニングの成果をピッチ上で表わし始めている。だからだろうか、初のノーゴールでの敗戦にも、指揮官は柔和な表情でこう語る。

「人の成長度合いによることなので、あまり(いつまでに目指すサッカーを完成させたいという)計画を立ててはやっていない。1日1日選手と接しながら、ヒントを与えていきたい」

 ただし、そこで気になるのは、あまりにも失点が多いことだ。4試合で11失点は、普通なら崩壊状態と言われてもおかしくない数字である。目指すサッカーが形になる前に、これ以上失点を重ねて勝ち点を失うようだと、理想ばかりを掲げてもいられなくなる。

 風間監督が言うように、圧倒してボールを持つことができれば、必然的に失点も減るはずだ。だが、ことはそううまく運ぶのかどうか。わずかに差す光明が今後、どれほどの広がりを見せるのかに注目したい。

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