【Jリーグ】上位キープ。今季の浦和レッズの攻守のカギはどこにあるのか?

  • photo by Getty Images

10節終了時点で4位。ペトロビッチ体制の1年目から上位争いを続けている浦和10節終了時点で4位。ペトロビッチ体制の1年目から上位争いを続けている浦和福田正博フォーメーション進化論 vol.18

 今シーズンから、昨年まで広島を率いていたペトロビッチ監督が就任した浦和。基本となるフォーメーションは、ペトロビッチ監督が広島で採用していた3-6-1になった。

 GKは昨年と変わらず加藤順大。彼は足元の技術もしっかりしていて、フィードの能力も高いので、DFラインでのボール回しに参加することもできるし、素早くFWまでフィードする判断の良さも持っている。

 3バック②③④は、右から坪井慶介、永田充、槙野智章。とくにケルンから加入した新戦力の槙野は、広島時代にペトロビッチ監督のもとで3-6-1というシステムを経験しているので、的確な補強だろう。

 そして、最大の補強だったと私が考えているのは、中盤のアンカーである阿部勇樹だ。彼が戻ってきたことは非常に大きい。

 浦和は守るときは5バックに近いが最終ラインのひとつ前に阿部がいることで、DFの負担はだいぶ軽減されている。また攻撃時には、阿部はひとつ下がってDFラインに近いポジションになり、CBとボールを回してビルドアップに加わっていくが、それができる技術と経験がある。攻守両面において、阿部は機転を利かせて効果的なプレイを選択できる。

 たとえば、攻撃時に浦和がDFラインからビルドアップする場合、相手はサイドバックにボールを当てさせて守備をしようとしてくる。サイドに追い込んで、数的優位をつくるためだ。

 しかし浦和としては、サイドに開いた選手②④にいったん預けたとしても中央ですぐにもらい直し、ボールを動かして、あるいはドリブルで持ち出して、中央から前線の5人⑧⑩⑪⑨⑤にフィードする。相手が中央に絞っていればサイドに、サイドにマークがついていれば中央に出す、その的確な判断ができなくてはいけないし、何よりもボールを奪われない技術と能力が必要になる。

1 / 3

著者プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る