【Jリーグ】石川直宏「代表に関しての時間は止まったままだった」

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

  輝きを取り戻した男
FC東京・石川直宏インタビュー(後編)

ポポヴィッチ新体制のもと、かつての躍動感を取り戻したFC東京の石川直宏。今季の開幕前には、日本代表にも久しぶりに招集され、新たな刺激を受けた。そして、一度は諦めたワールドカップ出場へ、再び意欲が湧き始めている。まもなく31歳を迎えるが、彼の上昇志向が衰えることはない――。

 2012年2月24日、石川直宏は日本代表としてアイスランド戦に出場している。後半19分からの交代出場。それは、ほぼ2年ぶりの代表戦だった。

「(2010年4月の)セルビア戦が、代表でプレイした最後の試合でした。あの試合はサイドを抜け出し、フィニッシュに絡んだりはしましたが、ゴールという結果を残せなかった。南アフリカW杯のメンバーからは外れたので、正直に言えば、"代表は終わった"と思っていました」

 石川はそう告白する。

「"4年後のブラジルW杯は33歳か"と現実的に考え、諦めていたところがありました。2010年はFC東京が残留を争うようなシーズンになってしまったし、"これからは自分が日本サッカー界でどうやって生き残っていくか"ということばかりを考えるようになって。2011年はどうしてもJ1に復帰しなければならない状況だったし......、代表に関しての時間は止まったままでした」

 アイスランド戦は残り5分で敵陣に迫り、サイドアタッカーとしての才能の片鱗(へんりん)を見せている。しかし、5日後のウズベキスタン戦のメンバーからは漏れることになった。

「試合の出来は良くなかったと思います。ただ、合宿に参加してみて、(中村)憲剛さんやヤットさん(遠藤保仁)からはあうんの呼吸でボールが出てきたりして、楽しさを感じました。ザッケローニ監督のやろうとしているサッカーにも触れられたし、とても大きな経験だったと思っています」

 石川に焦りはない。

「合宿に参加したとき、"ポポヴィッチ監督とザッケローニ監督のサッカーは似ている"と思ったんです。ふたりは同じ指導者に会っていたりして、どこかでお互い共通点があるんじゃないか、と本気で勘ぐったほど。ゴールに向かってチャレンジすることなど、自分に求められているプレイも同じでしたから」

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