【Jリーグ】FC東京・ポポヴィッチ監督
「攻撃的な姿勢でどんな局面でも相手を凌駕する」

  • 藤原 夕●文 text by Fujiwara Yu
  • 早草紀子●撮影 photo by Hayakusa Noriko

2012年シーズン序盤戦。新監督の明暗(3)

J1に復帰したばかりのFC東京を率いるポポヴィッチ監督。試合中にも選手に細かい指示を与え、チームを開幕3連勝に導いた。J1に復帰したばかりのFC東京を率いるポポヴィッチ監督。試合中にも選手に細かい指示を与え、チームを開幕3連勝に導いた。 J1復帰1年目のシーズンに挑むFC東京は、新たな指揮官としてポポヴィッチ監督を招聘した。かつて大分トリニータ、昨季は町田ゼルビアを率いて、日本のサッカーを熟知しており、その手腕には定評がある。ただ就任後、およそ1カ月という短い時間で最初の公式戦(ゼロックススーパー杯)を控え、さらに移籍選手が数多く加わるため、指揮官が志向する戦術の浸透には時間がかかるだろうという見方があった。

 しかしそんな周囲の心配をよそに、ポポヴィッチ監督は自身が理想とするサッカーの確立にすぐさま取りかかった。
「攻撃的な姿勢で組織的に戦い、魅力的なサッカーをして、FC東京のスタイルを確立させること」を目標に掲げ、準備期間の短さなど言い訳にせず、「やるべきことをチーム一丸となって理解し、そこに向かって準備をすることが大切だ」と、チームの始動と同時に戦術指導に徹した。

 MF高橋秀人は「監督が求めるプレイの質は高く、非常に細かい」と話す。
「パスの精度、ボールを受ける際のポジショニング、身体の向き、ワンタッチで早くボールを運ぶこと......すべてにおいてそう。ときに激しい叱咤が飛ぶこともあれば、例えば縦パスを意識して(攻撃の)スイッチを入れて、1、2、3のテンポで3人目が連動したときなどは、『ブラボー!』と言われます」

 シーズン目前まで、そうしたトレーニングを繰り返した。ボールを支配し、賢く動かして相手を崩すために、その意識づけに多くの時間を費やしてきた。

 ゆえに、開幕が間近に迫ってもレギュラーが固定されることはなく、「チームとしての強みも課題も明確にならないまま、期待と不安が半々の気持ちでシーズンに入っていった」と、高橋は言う。

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