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サッカー日本代表の「駅伝スタイル」に、セルジオ越後「ワールドカップは故障中の選手が戻ってこないと厳しい。特に三笘だね」 (2ページ目)

  • 渡辺達也●構成 text by Watanabe Tatsuya

【ベスト8に入れるかは組み合わせ次第】

 一方で、選手層に関してはポジティブに見ているよ。伊藤洋輝、町田浩樹、高井幸大といった最終ラインの選手たちが次々と故障し、一時はどうなってしまうのかと心配したけど、鈴木淳之介、渡辺剛が台頭し、守田英正が離脱している中盤でも佐野海舟が猛アピールするなど好材料が多かった。

 日本代表がいいプレーをできている時というのは、前線からのプレスがしっかりできている時。でも、体力の消耗が激しいので、90分続けるのは難しい。それだけに重要になるのが、選手交代枠5名のフル活用。連戦の続くワールドカップ本番までに、計算の立つ選手をどれだけ揃えられるかだね。

 たとえば9月のメキシコ戦は、最初はよかったけど、徐々にプレスがかからなくなり、選手交代でまたペースを取り戻した。ボリビア戦も同様だ。ブラジル戦も引いて守った前半に2点を奪われたものの、後半は開き直って前からプレスをかけて逆転、そこから一気に3枚替えをして逃げきった。思い返せば、カタールワールドカップでも、前半は守って耐えて、後半にスーパーサブの三笘薫を入れて攻めていた。よくも悪くも、5人交代制時代ならではの(選手交代を次々に行ない、体力的な負担を分け合う)「駅伝サッカー」だ。

 だからこそ来年の本番に向けて、離脱中の選手たちがどこまで戻ってくるかが命運を握りそうだね。彼らがいないと厳しい。特に、三笘にはそろそろ元気な姿を見せてほしい。

 そして、ベスト8を達成できるかどうかは、組み合わせ次第。どのグループに入って、どの相手とどういう順番で対戦して、勝ち上がった時の相手はどこで、試合の開催地は......と、それらがわからない現時点では何とも言えない。

 今回はヨーロッパ予選の試合をたくさん見たんだけど、スペイン、フランス、イングランド、ポルトガル、オランダ......と、強烈な国が多いね。特にノルウェーはすごいサッカーをやっていた。エースのハーランドを中心に8戦全勝37得点(5失点)という攻撃力。同じグループのイタリアは簡単に蹴散らされていて、気の毒なくらいだった。

 ワールドカップベスト8に入るためには、そういう強豪に少なくとも一度は勝たないといけない。簡単ではないけど、やりがいはあるよ。ただ、それが優勝となると、まだまだ日本の現実的な目標としては捉えにくいね。

(21)を読む>>>セルジオ越後が語る、今のサッカー日本代表で「欠かせない選手」「試したいダブルボランチ」「もっと自由を与えたい選手」

 

著者プロフィール

  • セルジオ越後

    セルジオ越後 (せるじお・えちご)

    サッカー評論家。1945年生まれ、ブラジル・サンパウロ出身。17歳の時に名門コリンチャンスのテストに合格し、18歳の時にプロ契約を結び、MF、FWとして活躍した。「エラシコ」と呼ばれるフェイントを発案し、ブラジル代表の背番号10を背負った同僚のリベリーノに教えたことでも有名。1972年に日本リーグの藤和不動産(湘南ベルマーレの前身)から誘いを受け、27歳で来日。1978年から日本サッカー協会公認の「さわやかサッカー教室」で全国を回り、開催1000回以上、のべ60万人以上を指導した。H.C.日光アイスバックスのシニアディレクター。日本アンプティサッカー協会最高顧問。公式ホームページ【http://www.sergio-echigo.com】

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